サッカー日韓戦 in ソウル 観戦記

2003年4月16日ソウル。 キックオフは夜7時。 しかし朝から落ち着かない。 とにかく外へ出た。 真っ青に晴れ渡った空の下1時間ほど歩けば少し落ち着いてきた。 代表の試合の日はいつもこんな感じ。 たぶん一生かわらない。

ワールドカップスタジアムへ向けてのホテル出発は午後3時。 ロビーに続々と青のユニフォームを着たサポーターが集まってくる。 NIPPONのマフラーを首にかけている者もいれば日の丸をまとったサポーターも。 みんなの間でも試合前の緊張感かなんとなく言葉少なめ。 バスに乗り込んだ。 スタジアムまでの途中に青のTシャツやタオルなどがもらえるというので免税店に立寄った。 免税店を出発すると約40分でスタジアムに着くとのこと。 やっと車窓にスタジアムが現れた。 我々の座席は日本応援サイド(=アウェー)のゴール裏2階。 すなわちスタジアムのレイアウトで いえば南に位置する。 バスはその南の駐車場に向かったがスペースがなく、やむなく西の駐車場に入った。 バスを降りてぞろぞろと歩き出す。 スタジアムまで15分ほどかかる少し遠い距離。 まわりは赤のサポーターがひしめいている。 途中、飲み物・スナック・おみやげなどを売っている露店が点々と。 どれも安そうだったが、とにかく早くスタジアムへ、の気持ちがはやって呼び込みをやりすごした。 正面にFIFA2002の開幕戦が行われたソウル・ワールドカップスタジアムが姿を見せた。 そんなに大きいとは感じなかった。 しかし68,000人収容のスタジアム。 サッカー専用なのでコンパクトに作られているのかと想像しつつ歩を進める。 南の入口に到着した。 チケットを見せて門をくぐる。 しかしまだ100mほどのゆるやかな階段をあがらないとゲートにはたどり着けない。


☆そこにいなけりゃ体験できない! その@
「韓国サポーターはフレンドリー!」

門をくぐってしばらくすると「一緒に写真撮りませんか」と赤いユニフォームを着たサポーター。 流暢な日本語と笑顔で声をかけてくれた。 すごく嬉しかった。 絶対的少数の青という意識がどこかにあったのだと思う。 道すがら「アウェー」をひしひしと感じ、身構えていた自分が少し恥ずかしかった。 同じツアーのサポーターも一緒に入って赤・青仲良く「はいチーズ!」。 今日は日韓親善試合。 我々サポーターもキックオフ前に日韓親善。 感動の瞬間だった。

やっとゲートにたどり着いた。 時計を見ると午後6時、キックオフまであと1時間。 ちょうどいい時間だ。 ゲートの前では入念なボディチェックを受け入れてもらった。 同じツアーのNさん(男性)は缶ビールを5本も買い込んでリュックにしのばせていたが、きっちりアウト。 やむなくその場で3本を一気して残り2本は紙コップに移して入場しました。(笑)

ゲートの奥に緑のピッチとまばらな赤のサポーターが見えた。 いつもこの瞬間に心拍数があがるのは私だけでしょうか。 ついつい子供のように走り出してしまう。 チケットに書いてある座席番号は「南入口・Kゲート・54列・16番」。 ソウル・ワールドカップスタジアムの観客席は2層構造になっており、我々の座席はアウェー用のゴール裏の2階だった。 ビルの高さでいえば5階の位置。 席に座る前にピッチを見渡した。 見やすい! さすがサッカー専用スタジアム! 手前のゴールはすぐ斜め下、というより真下に近い。 対面のゴールもよく見える。 ビルの5階という高さもあり遠近・高低の感覚もつかみやすい。 後ろをふりかえると大きなマルチビジョン。 気分も盛り上がってきた。
私は応援するJリーグのチームや日本代表の試合に行くとき必ずゴール裏を指定する。 試合が始まると座っていられないから。 立って大声で応援したいから。 「12人目の選手」になりたいから。 メインスタンドやバックスタンドではこうはいかない。
キックオフまであと30分。 観客席を見渡すと、対面ゴール裏のレッドデビルス以外は空席が目立つ。 しかし韓国ではこの試合のチケットは発売5時間後に売り切れたと聞いている。 平日の夜7時開始の試合、はたしてキックオフの時点で満席になるのだろうか。 結果から言うと満席になった。 そりゃそうだよね、特別な日本戦なんだから。

☆そこにいなけりゃ体験できない! そのA
「試合前のセレモニー」

キックオフ約20分前。 スーツ・ネクタイ姿の紳士がメインスタンド中央下からピッチに姿を現した。 レッドデビルスから大きな歓声と拍手。 一体誰? マルチビジョンに顔が映った。 Jリーグにも所属した元韓国代表のハ・ソッチュさんだ。 引退だろうか、たぶんそうだ。 そういえば数年前、ソウル・オリンピックスタジアムでの日韓戦で、決勝点となる強烈な左足のミドルシュートをたたき込まれたことを思い出した。 しかしこのようなセレモニーを見ていつも思う。 欧州・南米・韓国もそうだが、どの国も選手や元選手、関係者にとても労いと感謝の気持ちを表している。 日本ももっとこうあるべきだと思う。

☆そこにいなけりゃ体験できない! そのB
「大統領のスピーチ」

ハ・ソッチュさんのセレモニーの後、なんと大統領のスピーチ。 日本ではたとえ代表の試合、それもW杯出場をかけた大事な試合でも首相がピッチに登場してハッパをかけるなんて滅多にないこと。 大統領のスピーチが始まった。 しかし我々日本人には言葉がわからない。 訳文がマルチビジョンに映し出されるわけでもない。 言葉の区切りごとに赤のサポーターは盛り上がる。 しかし...最後にレッドデビルスから小さなブーイングが聞こえたような。 このことを帰りのバスでガイドさんに聞いてみた。 ガイドさんはバスのTVで一部始終を見ていたらしく教えてくれた。 「あのとき大統領は最後に“日本イレブンの健闘を祈る”って言ったのよ」。 もし私がレッドデビルスの立場だったら拍手を送っていたと思った。

選手がピッチに散らばった。 まもなく試合開始。 対面のゴール裏には巨大な韓国国旗が揺れている。 一方我々ブルーも下から巨大な日の丸がせり上がってきた。 私もその国旗に飲み込まれた。 下から両手で旗をつつく。 みんなで騒ぐ。 日の丸が終わると次はブルーの巨大応援旗。 白地にブルーで「12」の文字。 再び飲み込まれた。 旗の下でボルテージは最高潮に達した。


☆そこにいなけりゃ体験できない! そのC
レッドデビルス作成・日韓親善の巨大な旗」

まずそれを見たとき感動した。 巨大韓国国旗の横に広がっていったのはまさに日韓親善を意味する巨大な旗。 赤で「K」、青で「J」の大きな文字。 そのKとJの間に手と手が握手している絵。 そうだそうだ! 一緒に行こうぜドイツ2006! ブルーも何か気のきいた旗が必要だ。



夜7時キックオフ。 耳をつんざく大歓声。 向こうのゴール裏ではおびただしい数の白いテープが舞っている。 やはり日韓戦。 赤の気合いもいつもと違うと感じた。 我々ブルーは全員総立ち。 いつもの歌で声をはり上げる。 ♪オッオー、オ・オ・オ・オッオッオー、オ・オ・オ・オーオ・オッ…♪ さぁ応援するぞ! いや一緒に戦うぞ! 勝って帰るぞ! みんながそう思う瞬間。 歌が変わる。 歌というよりかけ声。 「ニッポン!ニッポン!」



☆そこにいなけりゃ体験できない! そのD
「韓国サポーターのパワーと団結力」

昨年のW杯でテレビを見て感じてはいたが体験してみて本当にすごいと感じた。 もちろん今回の舞台はソウル。 日本サポーターは思っていたより少なく約2,000人ぐらいか。 97年11月1日のチャムシルでのフランスW杯アジア最終予選に私も行った。 試合の重要性が違うとはいえその時は約10,000人が海を渡って応援にかけつけた。 メインスタンドから向かって左側のゴール裏はブルー一色だった。 しかし今回は...日本サイドゴール裏1階は半分が赤、2階も赤がせり出している。 しかし我らが日本代表に届けとばかりに大声で歌った。 が...それにかぶせてくるように「テーハミングック!テーハミングック!」。 地響きのような赤の声。 統率された無数の太鼓のリズムがドシッと腹の底に響きわたる。 だがしかし負けていられない。 アウェーだからって引き下がるつもりもない。 日本代表と我らブルーにとって世界中で最も厳しいアウェー、ソウル。 実感した。 彼ら赤の軍団はすごい。 テレビでは声と表情しかわからない。 でも現場にいれば「空気」を感じられる。 「気迫」がスタジアムに満ち溢れている。 選手もこの声援に応えないわけにはいかない。 足を止めればブーイングが待っている。 選手とのいい緊張感と共有している闘志がそこにある。 我々もホームではこうありたい。 心の底から応援する。 腹の底から大声で歌う。 あらためて行ける試合は全部行くと決めた。

試合は進んでいく。 途切れない赤と青の歌・声援。 ピッチの上ではいろいろな場面があった。 お互いにとってのチャンスとピンチ。 観客席からは歓声とため息。 前半に一度だけゴールネットが揺れた。 ゴンゴ〜ル! しかし遠目に見ても明らかなオフサイド。 いいぞいいぞこのままで。 ガンガン突進だ! かなり危ないシーンもあった。 我々の目の前のゴール。 攻め込まれていた。 ゴールエリアでぶつかりあう赤と青。 赤が絶妙のトラップで反転して右足でシュート。 ボールはファーポストをかすめて外に出た。 ブルーからは安堵のため息。 イ・チョンス、抜群のテクニック。 プレッシャーのかかるゴール前であの浮き玉のトラップと反転。 少し違うかもしれないが、昨年のW杯予選リーグ、韓国vsポルトガルで見せたパク・チソンのスーパーゴールを彷彿とさせたシーンだった。

前半終了、0−0。 ずっと声をはり上げていたので喉が異常に渇いていた。 すかさず席を立ち、水を買いに出た。 ペットボトルはすぐに空になった。 タバコも一気に2本吸った。 急いで座席にもどった。

後半開始。 今度は我々に向かって日本が攻めてくる。 ゴールが生まれるとしたら必ず目の前という状況になった。 期待が膨らむ。 より一層声も出る。 ♪オッオー、オ・オ・オ・オッオッオー、オ・オ・オ・オーオ・オッ…♪ ♪オー・バモ・ニィッポ〜ン、ニィッポン・ニィッポン、バモ・ニィッポ〜ン、オレッ・オレッ・オレ・オレ・オレッ♪ 「ニッポン!ニッポン!」
気がつけばゴンがペナルティーエリア右サイドに抜け出してパスをもらった。 サポーターが一気に前がかりになった。 右足が振り抜かれた。 「入った」と誰もが思った。 どフリーで絶好の角度から利き足でのシュート。 隣のNさんは両手をあげて歓喜のポーズ。 しかし鋭い弾道のボールはバーの上空を勢いよく通過した。 前がかりだった我々は一気にのけぞった。(笑)

刻々と時間が経過する。 電光掲示板のデジタル時間表示が89から90に変わった。 スコアは依然0−0。 ロスタイムはあるのか? あれば何分? タッチライン際でいつも示されるロスタイム表示が見えない。 マルチビジョンにも映し出されない。 いつ終わってしまうのか。 このまま引き分けか... そんな思いが少しよぎる。 アウェーとはいえ勝つ! 勝ってほしい! そう思ってわざわざ飛行機に乗ってソウルまでやって来た。 90分間声をはりあげた。 歌い続けた。 そうるすことが我ら日本代表の勇気になる。 そう俺たちも一緒に戦っているんだぜ。 最後まで歌をやめない。 いやより一層ボルテージは上がった。 勝つこともあきらめていない。 声を止めずにピッチに集中する。
90分は過ぎている。 中盤左サイドでボールを奪った。 すかさず出されたショートパスを奥がダイレクトで前のスペースへフィード。 永井が追いつく。 途中交代で入った彼に視線が集中するのは初めてだったかもしれない。 ペナルティーエリアで赤のディフェンダーを一人かわした。 サポーターの息が止まる。 しかしトラップが少し長い。 案の定ブロックされた。 が...ボールが浮いた! 68,000人の視線を一点に集めた白いボールがゴールめがけて絶妙な放物線を描く。 一瞬本当にスタジアム全体が静まりかえった。 ゴールの隅でボールがはねた! かすかにネットが揺れた! ゴォ〜〜〜ル! 待っていた瞬間がついに来た! しかも我々の真下のゴールで!
ブルーのサポーターは両手を突き上げる! 叫ぶ! 飛び跳ねる! ゴォ〜〜〜ル! 前後の見知らぬサポーターと抱き合った! あとは頭の中が真っ白。 そこまでしか覚えていない。
再びキックオフのホイッスル。 しかし間もなく試合終了のホイッスル。 まさにVゴール同然の永井のゴール。対面のレッドデビルス... 静まりかえっている。
試合が終わってもブルーのサポーターは歌い続ける。 新生日本代表、ドイツへ向けての初勝利! しかも超の字がつくアウェーで勝った!

☆そこにいなけりゃ体験できない! そのE
「コンサートならアンコール」

なかなか帰ろうとしない我々ブルーのサポーター。 ほどなく「ナガイ!ナガイ!」の大合唱。 今日のヒーローをたたえるコール。 嬉しくて飛び跳ねながら私もコールしていた。 だから気付かなかったが、ウォ〜ッっという周りの反応でやっと気付いた。 永井がベンチを飛び出して走ってきた。 誇らしげに、でも少々照れくさそうに。 ゴール前で立ち止まって我々を見上げた。 軽く両手をあげて少し腰を折った。 再び「ナガイ!ナガイ!」の大合唱。 彼はまた小走りで監督のもとに戻った。
後ろ姿の11番が眩しい。 私はKAZUの大ファンでもある。 ふと思った。 「ナガイ!ナガイ!」の大合唱はコンサートでいうなら“アンコール!”のことだったのだと。

試合終了約40分後にやっと席をたって外に出た。 駐車場まではまた15分の道のり。 一人で歩くが周りは口を真一文字に閉じた赤のサポーターが足早に通り過ぎて行く。 少し不安に思った。 機嫌の悪い連中にケンカでも売られないかと。 今日はタイトルの懸かった試合でもなくW杯出場を争った決戦でもない。 でもお互いを最大のライバルと認め合う者同士の“特別な”試合にはかわりない。 サポーター間のいさかい・暴動は実際にヨーロッパで目の当たりにした。 赤と青の間で何があってもおかしくないと思いつつ。 バスを目指して歩いた。 しかし実際は全くの逆だった。

☆そこにいなけりゃ体験できない! そのF
「赤のサポーターはものすごく大人で立派な国際人だ!」

暗い夜道の道すがら数人の赤のサポーターに声をかけられた。 いずれも流暢な日本語で。
「おめでとう」「共にがんばろう」「ワールドカップで会おう」などなど。 97年11月1日のチャムシルでの決戦(日本2−0韓国)ではスタジアムを出てから駐車場までの約1kmの道のりで両側を警官隊に警備されながら帰った。 2002日韓共同開催を機にお互いがさらに近くなったのだと実感した。 めちゃくちゃ嬉しかったと同時に自分の度量の浅さにも反省した。 そういえばいつも感じる。 テレビで見たときもスタジアムに行ったときも日韓戦の特別な意味のひとつを... 最大のライバルではあるが最高のパートナーであることを。 試合中はどの対戦相手より熱狂し、興奮もするが、試合が終わった後のなんとも言えない清々しさ。 本気で戦った。 ぶつかりあった。 だからこそ残る満足感。 ラグビーで言うところの「ノーサイド」が日韓戦にも確かに存在するのだとあらためて感じた。 一緒に行こうぜ! ドイツ2006!

最後になりましたが、今回ツアーにご参加いただいた “ナンカイ〜サポーター” メンバー紹介!

☆職場仲良し3人組 Hさん(男性)、Tさん(男性)、Nさん(男性)
1泊2日の強行日程でご参加いただきお疲れ様でした。 茶髪というより金髪のTさん! 迫力あ ります! 一緒に乗り込めば勝てる!と思いました。 Hさん、Nさんも熱い! 試合後にカルビご 一緒していただきありがとうございました。
☆果敢に1名でご参加いただいたHさん(女性)
かなり好きですね、日本代表。 98年は現地でジャマイカ戦とブラジル−チリも観戦されたそう じゃないですか。 当然ドイツも行きますよね!
☆カップルでご参加いただいたHさん(男性)、Kさん(女性)
サッカー狂のKさんがHさんを誘ってご参加? でもHさんもスタジアムでは盛り上がってらっしゃ ったのでサッカーにハマッたかも?
☆某旅行会社勤務のNさん(男性)
いいんですか... 他の旅行社でサッカー観戦に行ったりして? でもナイショにしておきますね。 コンフェデも行く気マンマンらしいじゃないですか。 またご一緒させてくださいね。
☆サッカー好きのSさん姉妹
バスの中では静かだったような... でもスタジアムでは...  ゴォール!でしたよね。
☆某旅行関係職場仲良し2人組 Iさん(女性)、Yさん(女性)
いや〜しかしお二人はサッカーにも熱いけどショッピングにもかなり熱い!ですね。 とにかくどこへ行っても買いまくり! ものすごいパワーでした。 Iさんへ...ご自慢の手作りサッカー応援サイトぜひ公開してください!
☆かなりサッカー好きの2人組@ Hさん(男性)、Nさん(男性)
お疲れ様でした。 TOTTIのユニフォームもバッチリで。 腹の出たオヤジにはできない着こなしです。
☆某旅行会社勤務サッカー狂2人組 Yさん(女性)、Iさん(女性)
お二人もかなり熱いですね。 昨年のW杯も2人で行かれたようで。 お二人が撮影された写真を本文中にお借りいたしました。 ありがとうございました。
☆かなりサッカー好きの2人組A Fさん(男性)、Kさん(男性)
見るからに“ちょっと危ない”サポーター? いえいえそんなことはありません。 お二人のような熱いサポーターがいるから勝てたんです! Kさんのドレッドロックヘア、イケてます。 それを後ろでしばって... そうあなたは「サムライ」です! 帰りの飛行機もブルーのユニフォームで搭乗! まさにサポーターのカガミです! Kさんが第一回ナンカイ〜サポーター・ドレス大賞! そして、あんたが大将!

みなさまこのたびは誠にありがとうございました。 またどこかのスタジアムへご一緒させていただける日をお待ち申し上げております。