対してホームのフルハムサイドが何故か大人しい。 そういえば、私の右隣りのおばちゃんはフルハム応援だったが、静かに熱かった。 攻めあがる時は「Come on, Boy! Come on, Boy!」と連呼し、外すと「Oh!」とため息。 ボールを挟んで選手がにらめっこになると「Ahaaaaa…」と高笑い、フルハムがナイスセーブした時は「Fantastic!! Fantastic!!」と 拍手。 選手の一挙手一投足も見逃さない眼差しがおばちゃんに目をやるまでもなく感じ取れる。 おかげで、少しダレた試合も愉快になった。
出発
10月17日、当社商品「プレミアリーグ・マンチェスターユナイテッド観戦ツアー」にのっかり、JL421便にて関西空港出発。 前日の日本対ジャマイカ戦の興奮も冷めやらず、稲本が同日ロンドンに戻るとの情報に「ヒースロー空港で逢ったらどうしよう」などと要らぬ心配しつつ、一路ロンドンへ。 (結局、遭遇することはなかった。)
16:30ロンドン着。 曇り。 かなり冷え込む。 機内アナウンスでは当地13℃。 19日はどうだろう...
ホテルはスタンダードクラス「パラゴンホテル」。空港から車で1時間弱のはずだが、往路は渋滞で1.5時間かかった。 部屋は広くも狭くもなくごく普通。 こぎれいだ。 ドライヤー、湯沸しポットがあり、シャワーもロープ式。 私達がチェックインした19:30頃にはコンシェルジェに日本人スタッフがいた。 何かと日本人には有り難い設備になっている。 朝食はコンチネンタル。 基本5日間のツアーだが、私達は延泊3日の8日間のため、アメリカンでなくてちょっとショック。
翌18日はロンドン市内観光へ。 まず最寄のWest Brompton駅(ホテルから徒歩3分)で7日間地下鉄乗り放題の「7daysトラベルカード」を購入。 地下鉄は距離で1〜6のゾーンに分けられており、ALLゾーンで£36.90。 (私達はヒースロー空港に行く予定があったのでALLゾーンにしたが、1&2ゾーンのカード(18.30)もあり、市内の観光名所を見るだけならこちらで充分。)
移動には地下鉄が大変便利。 駅名や出入り口等の表示がバカ丁寧に掲げられているので、ビギナーでも全く問題なく乗りこなせる。 ホテルから市内中心地までは地下鉄で30分弱といったところ。
私達はビッグベンにウエストミンスター寺院、バッキンガム宮殿の衛兵交代式、アフタヌーンティーにミュージカル鑑賞…と「It’sロンドン」のお決まりコースを満喫する。
朝晩はかなり冷え込む。 大阪の11月下旬くらいだろうか。 朝、小雨だったのが昼頃には大粒の雨に変わり、夕方には少し晴れ間がのぞいた。 これまた「It’s ロンドン」な天候。 明日もこうなのだろうか...
3日目=10月19日の朝
19日。 いよいよこの旅のメインイベント、フルハム対マンチェスターユナイテッド観戦へ! 心配した天気はなんと快晴!! 神様ありがとう。 でも放射冷却なのか昨日より更に冷え込む。 スタジアムは寒いと聞いていたので、カイロを忍ばせてホテルを出発。
…と辿りついたのは『マダムタッソーろう人形館』。 やはり本物を見る前に、ろう人形で慣れておかねば…(?)。 しかしあまりにそっくりな「ベッカム人形」に大はしゃぎ。 人形相手に何枚写真を撮ったろう。 …存外、大いに興じて館を後にする。
今度こそスタジアムへGO!
選手入り待ち
15:00キックオフだが、選手の入り待ちをすべく、私達は11:00過ぎにスタジアム最寄駅「White City」(地下鉄セントラル線)に到着。 改札を出ると「チケットあるよ」と日本語で声をかけてくる男あり。 どこの国にもいるんだな、ダフ屋さん。 そんな輩は無視して、駅から右に道なりに歩くこと10分弱、『ロフタス・ロード・スタジアム』が見えてきた! (フルハムのホームスタジアムは現在改装中のためQPRのホームを借りている。) 周りは閑静な住宅街。 「近所の公園」といった佇まいで、その小さなスタジアムはあった。 (収容人数19000人。)
まずはスタジアム併設のグッズ売り場へ。 スタジアム自体小さいし、借家だしで、主要商品のみ陳列といった感じ。 (前日、ハロッズにもグッズがあると聞いて見に行ったが、そこは更に種類が少なかった。) そこそこ見たら12:00近くになっていた。 日本で選手の入り時間はキックオフ3時間前と聞いていたが、まだそんな気配はない。 私達同様情報を得て来たのだろう、日本人10数名が周りをウロウロしていた。 おそらく20代後半、カップルが多い。 念の為、立っている女性警備員に何時頃選手が入るか聞いてみた。 「いつも13:00頃だから今日も多分そうだ」と。 出入り口はどこか尋ねると、これまた丁寧に教えてくれた。 なんて親切なんだ。。。
程なく、選手出入り口にスタッフが集まり始める。 TVカメラを手にしたプレスの人達も陣取っている。 まだ12:00だが、そろそろ来るのか? 私達は急いで並び最前列を確保。他にも10数名並んでいた。1 0分、20分、…時間が経つにつれ、周りにどんどん人が集まってくる。 日本人もかなりいる。 私達の隣には、今日帰るはずだったが飛行機が飛ばなくて急遽この試合を見に来た日本人青年がいた。 チケットはこれからダフ屋と交渉して手に入れると言う。 私達の後ろには試合は見ないが、ベッカムを一目見ようと来た日本人女性二人連れ。 向かいにはマンUの編み帽をかぶり、マンUの真っ赤なユニフォームとペンを手にした初老の男性が立っている。 よく見ると背番号7・BECKHAMの文字が。 おじさんもベッカムを待ってるんだね。 地元のチビッ子達も紙とペンを手にして、今か今かと首を長くして待っている。 中に堂々とマンUのユニフォームを着てる女の子達がいる。 アウェイでユニフォームを着るのは危険と聞いていたのに、「フーリガン」なんてどこ吹く風。 拍子抜けする程ほのぼのしている。
12:40。 私達の前に図体のバカでかい警備員達が肩を並べて立ちはだかった。 いよいよ来る! 最初に女性警備員が教えてくれたことは本当だった。 ほどなくして、フルハム選手を乗せたバスが横付けされた。 群集がどよめく。 コーチ?、監督?(実は誰が誰だか分かってない)が次々に降りてPLAYERS ENTRANCEへ消えて行く。 選手が降り立った。歓声があがる。 2・3人通り過ぎた後に、来た! 稲本だ! 周りが一層大きくどよめきたつ。 皆必至にシャッターを押す。 腕をめいいっぱい伸ばし紙とペンを差し出す。 が、彼はサッと通り過ぎてしまった。 あぁ。 でも確かに稲本がすぐそこを通った。 近い。 なんて近いんだろう。 感動。
フルハム選手が全員降りた後、バスは去り、面前に立ちはだかっていた屈強な警備員達も入り口ドア前に戻った。 どうやらマンU選手が来るまでまだ時間があるようだ。 私達は折角陣取った最前列を逃さないようにそのまま立ち続ける。 10分、20分…まだ来ない。 すると、元ヴェルディの武田がやってきた。 TV中継の解説でもするのだろうか? 私達と同じくマンU選手を待つようだ。 まだ選手達は来ないようなので、ちゃっかり武田にサインをもらう。 写真も撮る。 2時間近くも立ち続けの上、かなり冷え込んでいるため足腰も手も感覚がなくなっていたが、ちょっと元気が戻る。
もう13:40を回った。 まだ来ないの? 遅い…と業を煮やしていると警備員が先刻同様、私達の前面に立ち並んだ。 来る! あぁ、でも私達のまん前に係りが立ってしまった。 これでは何にも見えない。 何とか覗く隙間を探す。 10分は経ったろうか。 マンU選手を乗せたバスが来た!
次々選手が降りては足早に通り過ぎて行く。 皆選手の名前を叫ぶ。 「ギグス!…」「リオ!…」「スコールズ!…」 瞬間、ひときわ周りがどよめいた。 ベッカムだ! ベッカムが来た! あぁ、でも彼もまた瞬く間に通り去った。 私達の後方に居た女性は「めちゃめちゃカッコ良かったァ」とため息をついた。 私はレンズ越しに横顔を見ただけだった。 後日、自分が撮った写真を見たら、ベッカムを見て「おおっ!」と驚く武田の顔が、それはリアルに写っていた。 (涙) マンU選手達も全員降りるとバスは立ち去り、入り待ちしていた群集もクモの子を散らすように引いて行った。 もうすぐ14:00。 早くスタジアムに入らねば!
スタジアム内へ
私達の席はメインスタンド上段左側、前から2列目だった。 青々したフィールド。 美しい。 そしてなんて近いんだ! 2階席でさえこんなに近い。 下段最前列席なんて、自分もピッチに立っているようなものだ。 実際選手がライン際に来たら触れそうな距離である。
14:10、まずはフルハム選手がウォームアップにフィールドに出てきた。 私達と逆サイドで遠いが、稲本もいるのが分かる。 今日は出場するだろうか。
観客席はまだまばら。 スタジアム内にある飲食店でジュースやフライドポテト、ホットドッグ等々を買って食べている。 日本でも見かけるごく普通の光景。 トイレは女性用が少ないかもと心配していたが、なかなか数もあったし、綺麗だった。 土曜の昼というのもあってか、小さな子供連れファミリー、女性も結構いる。 悪名高いフーリガンのイメージがつきまとうイングランドだが、この日は全く平穏だった。 内心不安だっただけに安堵する。
スタジアム入りが遅かったマンU選手達も14:20にはウォームアップに出てきた。 私達のまん前だ。 選手が近い! また感動。 試合開始に胸がはやる。
キックオフ5分前、客席もほぼ埋まった。 場内アナウンスと共に選手が出てくる。 すごい歓声だ。 ひときわ大きく野太い声に迎えられたのは、マンUのギグスだった。 「ウォォォォーーーーーー!!!」 身体に響いてくる。 これだ、これ! これをまた感じたかったのだ。 自然と気持ちが高揚してくる。
15:00キックオフ
主審の笛とともに試合開始。 どんなドラマを見せてくれるんだろう。
しかし、期待に反して前半はダラダラと展開する。 作戦なのか? にしても、どうにも選手達に覇気が見られない。 折角ここまで見に来たんだぞ! もっと熱いゲームを見せろー!
それでもサポーターは熱い。 マンUサイドのスタンドは休みなく応援歌を歌っている。 アウェイだからこそなのか。 響き渡る野太い声が、私の苛立ちを和らげる.。
対してホームのフルハムサイドが何故か大人しい。 そういえば、私の右隣りのおばちゃんはフルハム応援だったが、静かに熱かった。 攻めあがる時は「Come on, Boy! Come on, Boy!」と連呼し、外すと「Oh!」とため息。 ボールを挟んで選手がにらめっこになると「Ahaaaaa…」と高笑い、フルハムがナイスセーブした時は「Fantastic!! Fantastic!!」と 拍手。 選手の一挙手一投足も見逃さない眼差しがおばちゃんに目をやるまでもなく感じ取れる。 おかげで、少しダレた試合も愉快になった。
のらりくらりしていた試合が一転、テンポアップし選手も俊敏に。 マンUは少し焦り出しようだ。 前半で何とか1点取り戻したい。 そんな気迫が感じられる。
が、前半戦はこのまま終了。 選手は足早に引いて行き、観客は思い思いに席を立つ。 日本同様の光景だ。
後半戦開始
マンUはリーグ戦線を勝ち残るためにもこの1戦は大事にしたい。 意気込みが伝わる中、後半開始。 17分、1点奪取。 やったーッ!! (でも右隣りおばちゃんの冷たい視線が私の肩にささる。 痛い。) マンUサポーター沸きに沸く!! 喜びの余り観客席から転がり落ちてくる人、駆け出してくる人。 ゴール脇で抱き合う選手に飛び付き、一瞬選手とサポーターが渾然一体になった。 ホントに選手と観客に距離がない! これがプレミア!?と変に感動していたら、警備員がぞろぞろ出てきた。 そりゃそうよね。
さぁ、もう1点頂きに行こう! …んっ!? 稲本が私達の目下でウォームアップを始めた。 もしかして出てくる!?
時間は刻々と過ぎて行く。が、両者譲らず。
残り15分くらいになると、両チームとも更に躍起になってくる。 平行してプレイもどんどん加速してくる。 稲本がいつ出てくるか気になりつつも、ハイスピードなプレイから目が離せない。 速い! めちゃくちゃ速い!! ゴールからゴールへ、右から左へめいいっぱい動く、走る。 これはバスケ?と思う程、パス回し、切替しが速い。 更に、ボールを受ける音、蹴る音まで聞こえる。 トンッ、パーン、トンッ、パーン。 正しく、こんなテンポで。 またまた感動。
試合終了
結局、1対1のドローに終わり、稲本のプレイを見ることも叶わなかったが、十二分に本場のサッカーを満喫した私達は至極ご満悦。 しかし、余韻に浸ってる場合ではない。 選手の出待ちをしなければ!
素早くスタジアム外に出て、先ほど入り待ちした選手出入り口へ。 一歩遅かったようで、既に人だかりができていた。 しかし、入り待ちで要領を得ていた私たちは絶好な場所を確保。 これでばっちり選手が撮れるはず。 待つこと20分くらい。 マンU選手が出て来た。 でも数人だけで、ベッカムや半数近くの選手はとっくにマイカーで去っていた。 残念。 一人、2・3人のファンにサインをしてくれていた選手がいたが、アウェイだからかひっそりと数人を乗せたバスは走り去った。
すると、今度は5m程離れた出入り口から、フルハム選手が出てくるらしいと、群集が移動し始めた。 私たちもそれについて行く。 ほどなく、フルハム選手たちが出てきた。 ホームだからだろうか、選手たちがサインをしていってくれる。 2・3人にサインしてバスに乗り込む人、10人・20人にしていってくれる人、ファンのペンをひとしきり使い回した後「Yours? Yours?」と確認して本人に返却してくれる人。 選手とファンの距離がこんなに近いなんて! またしても感動である。 これなら、何時間でも入り待ち出待ちをすると言うものだ。 残念ながらお目当ての選手からサインは頂けなかったが、稲本が車窓越しながら恥ずかし気にファンに手を振ってくれただけで満足。 そして、次こそは…と秘するものが芽生えたのは言うまでもない。 18:30、フルハム選手達も全員乗り込むと、バスは発車した。
宴の後はちょっぴり寂しい。 もっともっと見ていたかった。 が、11:30頃スタジアムに到着してから実に7時間。 ホントに丸々サッカーに費やした1日だった。 大々満足だ! 選手とファンの近さ、客席とピッチの近さが何よりの魅力だった。 是非多くの人に味わってもらいたい。 損はさせません!?
(実は顔の写った写真も沢山あるのですが、肖像権の関係でお見せできないのが残念です...)
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