無理を言って朝7時半に朝食を用意して頂き、8時頃B&Bを出発。ロックサイド・ゲストハウスのイングリッシュ・ブレックファーストもボリュームたっぷりで大満足。冬なのに半袖のお茶目なご主人に見送って頂いた。ウィンダミアの街はまだ薄暗く、冷たい雨も降っている。8時21分、マンチェスター空港行きの列車に乗り込んだ。通学の子供達が大勢いてとてもにぎやか。
一昨日到着した時は何も見えなかったが、車窓からはまるで辺り一面ゴルフ場とでも言わんばかりの緑美しい景観が広がっていた。所々で草を食む羊が見える。ポター女史はこの美しい景観を守るため多くの土地を買い占めたという。そういった地元を愛する人達の努力があってこそ、私たち旅行者は「絵画のような風景」を楽しみ、そして癒されるのだと思った。また季節のいい時期に是非訪れたい。
さて、今日はコッツウォルズ地方へ向けて一気に南下する。イギリス人にとっても憧れの地と言われるコッツウォルズ。ロンドンから車で2時間の丘陵地帯に『世界で最も美しい』と讃えられる村々が点在するエリアだ。今の予定では、列車でチェルトナムまで行き、バスでボートン・オン・ザ・ウォーターという村へ向かい、そこで1泊しようと考えている。9時33分プレストン着。10時29分発の列車に乗り換えて、一路チェルトナムへ!
鉄道発祥の国だし、イギリスの列車は正確だと勝手に思っていたが、それは買いかぶりだったようだ。20分遅れでチェルトナムに到着。朝からの曇り空もここへ来てようやく晴れ間がさした。コッツウォルズへの期待が高まる。どんな景色が迎えてくれるのだろう??
ところが、駅を出て呆然!インフォメーションセンターが閉まっている!ロータリーにバス停があるものの、チェルトナム市内に向かうものばかりでボートン・オン・ザ・ウォーター行きの路線は見当たらない。人もいない。さぁどうしよう...。駅の周辺をうろうろすること10分、ようやくタクシーを発見し運転手のおじさんに尋ねたところ、30£で連れて行ってやるとのこと。相場もわからないが、選択の余地はなくそのタクシーに乗り込んだ。おじさんと世間話をしつつ窓の外に目をやると、限りなく緑の景色が広がり(湖水地方よりは乾燥している様子)、ぽつぽつと石造りの家が建っている。この石は「コッツウォルド・ストーン」と呼ばれるこの地方独特のものだそうだ。
30分強でボートン・オン・ザ・ウォーターに到着。かわいらしい街並みに胸が躍る。「コッツウォルズのヴェニス」と言われるとおり、街の中心を川が流れ、今はクリスマス前なので川の中にクリスマスツリーが立っている。石造りの家々と川、木々(今は枯れているけれど...)のコントラストがとても美しく、切り取って帰りたいと思うような風景だった。宿泊の「ザ・ダイアル・ハウス・ホテル」チェックイン後、村の散策へ。
まず、観光案内所をチェック。地図を買い、見所を教えてもらう。モーター博物館、モデル・レイルウェイは冬期休暇中のようだが、案内所隣のコッツウォルド・パフューマリー(草花を使った香水や石鹸、アクセサリーのお店を併設している)、街全体を9分の1サイズで正確に再現したモデル・ヴィレッジを見学。モデル・ヴィレッジでは自分が泊まるホテルや郵便局のミニチュアを見つけて嬉しくなったが、風吹きすさぶ敷地内に客は私一人...。
その後、村内をぶらぶらと歩く。アンティークのお店や土産屋、ティールームなどたくさんあるが、ゆっくり回っても1、2時間あれば十分。川が見えるレストランやティールームでのんびり時を過ごすのが、この村での滞在を楽しむ最もよい方法かもしれない。
夕食は、宿泊ホテルのレストランにて。イギリス政府観光局作成の冊子にもその名が登場するところだ。思えば今回の旅で初めてのまともな夕食...。まず、ソファルームで食前酒を味わう。暖炉があり、とても落ち着ける大人の雰囲気。その後、ダイニングルームに移動し、前菜とメインをオーダーする。挙動不審でさぞかし怪しかったことだろうが、トマトベースのスープと奮発して牛フィレ肉のステーキを選んだ。窓からは川に立つクリスマスツリーが見え、とてもロマンティック。(一人旅の寂しさをかみ締めました...。)近年コッツウォルズでは食に重きを置き、オーガニック食材にこだわる店も少なくないそうだが、ここもそうなのだろう。野菜の味がしっかりしていて、お肉もやわらかく、とても美味しかった。
食後、散歩がてらクリスマスツリーを見に外へ。人通りもほとんどなく、とても静かな夜だ。この幻想的な景色を目に焼き付けておこう。